去る6月25日の理事会及び社員総会で、いくつかの議案が議決・承認されましたが、その中で最も注目されるであろう事項は、何といっても「昇段審査権限の見直しとライセンス制導入」でしょう。
昨年11月の理事会以前における審査権限は、基本的に以下のようなものでした。
●教育普及部委員以上......五段までの審査権限
●昇段試験審査委員......三段までの審査権限
●上級公認指導員......二段までの審査権限
●公認指導員......級位までの審査権限
これが、11月の理事会後には、
●上級昇段試験審査委員......五段までの審査権限(★)
●昇段試験審査委員......三段までの審査権限
●上級公認指導員......二段までの審査権限
●公認指導員......初段までの審査権限(★)
となり(★=変更箇所)、合わせて「平成23年6月を目処に、ライセンス制導入を検討する」ことが決まったのです。ちなみに、上級昇段試験審査委員には、 新たに設けられた組織・教育部の役員、障がい者サポート部とジュニア育成部の各部長、旧教育普及部を退任した府県会長が名を連ねていました。
そして、先日の理事会・社員総会において、当初の予定通りライセンス制が導入されたのですが、それによって新たに整備された審査権限は次の通りです。
●Aライセンス取得者......五段までの審査権限(★)
●都道府県協会長及びブロック長(※)......五段までの審査権限(★)
●協会本部の各部部長及び教育・普及部の役員(※)......五段までの審査権限(★)
●上級公認指導員......三段までの審査権限(★)
●公認指導員......初段までの審査権限
(※)理事会で認可された者のみ
ライセンス制以外でまず目を惹くのは、上級公認指導員の審査権限が三段までに引き上げられたことでしょうか。これは、昨年末に初段まで見られるようになった公認指導員とのバランスを取ったものと思われますが、従来の昇段試験審査委員が上級公認指導員に置き換わったともいえるでしょう。
また、もうひとつの注目点として「協会本部の役員=無条件で権限付与」ではなくなったことが挙げられます。なにがしかの要職(あるいは当該の組織の役員)に就いていることと審査権限とは、切り離されて考えられるようになった、ということでしょうか。(尤も、そうした方々は基本的に十分長い指導員歴を持っていらっしゃるのでしょうけれど)
そして、新設された「Aライセンス」です。ライセンスというだけあって、認定試験に合格した者だけが得られる資格ですが、その試験の受験資格は以下のようになっています。
○入会5年以上
○五段位以上の段位を取得している
○上級公認指導員の資格取得後1年以上
◎以上3項目を全て満たした上で、協会理事などから推薦を受けた者
六段以外の(五段維持検定まで)全てを審査できるだけあって、相当ハードルが高くなっていることは一目瞭然。
現状の制度上、上級公認指導員を1年以上務めるには、最短でも入会から6年半近くかかりますので、あれだけ難関とされてきた六段位ですら、ノンストップで駆け抜ければ入会5年以内に辿り着けることと比較すれば、その重みが想像できるでしょうか。(入会1年&二段以上で公認指導員になれた旧制度を基準にしても、「入会5年以上」は実質不要な項目かと思われます)
また、上級公認指導員の資格が必須であることを考えると、上級公認指導員と公認指導員は、それぞれがさしずめ「Bライセンス」「Cライセンス」とでも呼べる立ち位置になります。つまり、一部の例外を除けば、審査権限は「一定の条件を満たした指導員が誰でも持てるもの」になったというのが、今回の変更における"キモ"といえそうです。
これは、「ライセンス制規則」第2条の「本制度は、より多くの会員に昇段試験審査の資格を、公平・公正に取得できる機会を提供するものである」という一文でも明確にされていますが、裏を返せば、これまでの三段以上の審査権限は「望んで必ずしも得られる資格ではなかった」ということでもあり、今回の決定に至るまでは様々な会員の声があったことは想像に難くありません。特に各地で長く活躍されている上級公認指導員の皆さんには、待望の制度となることでしょう。
なお、今回のライセンス制導入により、ごく近い将来多くの「Aライセンス保有者」が誕生するはずですが、ご当地・静岡県においては、現状で一人も上級公認指導員が存在しないため、県内第一号の誕生は、どんなに早くても再来年以降のことになります。
五段までの審査権限は、都道府県協会長のカテゴリでO場県会長が取得されるものと思われますが、それでも二段以上を(県内で)受験するには県会長にお願いするか、県外からお招きするかしかない状態には変わりなく(一応、ほっと倶楽部もありますが...)、上記「ライセンス制規則」第2条の続きにある「昇段に挑戦する会員にその機会を充分に提供し」という目的は、当県内では有効に働かないのが残念なところです。
勿論、これは静岡だけに当てはまる話ではなく、今後の各地域における普及活動にとって「指導員の養成・研修」がより重要となる、大きな契機になることは間違いありません。
......などと、偉そうに書き連ねましたが、私自身は上級公認指導員の受験資格すら、来年末にならないと得られない、まだまだ新人の指導員です。今後も、先輩指導員の皆さんの見識に触れる機会がより多く得られるように願いつつ、地道に活動を続けていきたいと思っています。
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