7月16日に墨田区総合体育館で開催される、第9回青柳杯大会の参加申込み受付が始まりました。大会自体の説明は今さら必要ないかと思いますが、今回の募集要項を見て、ある変化に気付いた方も多いのではないかと思います。それは、決勝トーナメント進出および決勝ラウンドでの「同点処理」についてです。
過去、この種の同点処理では、より中心に近い者を勝者とする「1本勝負」が採用されてきました。これ自体はごく一般的なもので、ルール上特段の問題があったようには思えません。しかし、今大会では、決勝トーナメント進出時と、準決勝までの決勝トーナメントについて、次のように改められました。
近年、特に男子の競技レベルが大幅に向上しており、予選通過者(順位)を確定させるだけでもひと苦労になってきています。昨年を例に挙げると、190点以上だけで14名。予選3位から7位が192点で同点、8位の椅子ひとつに190点で7名がひしめき合うという状況でした。
こうなると、従来の「1本勝負」では時間も手間もかかりますし、進行を混乱なくよりスムーズに、という点を重視してのルール変更だとすれば、理解できなくはありません。ただ、今回の新ルールには、多少の疑問も感じます。それは、序列づけでパーフェクト(35点)にプライオリティを持たせるのであれば、以降も同様の処理が求められるのではないか、ということです。
合計点を競うスポーツである以上、本来内容(6ラウンドの内訳)が問われる理由はありません。同点時の差をつけるため、そこを敢えて問うからには、明確な「客観性」が必要でしょう。今回でいえば、「パーフェクトの回数」がそれにあたりますが、発想の元は、「1ラウンド単位で見た場合、31点より33点が上位、33点より35点が上位」ということなのだろうと思います。
であれば、「パーフェクトの回数」で差がつかない場合、次に行うべき処理は「33点の回数が多い方はどちらか」であるはずです。しかし、パーフェクト数の次は、何故か「6ラウンド目の点数」が比較の対象となります。1ラウンドごとの点数比較に客観性はあっても、6ラウンド中の最終ラウンドに最も価値があるとする(=6ラウンド目を最優先の比較対象とする)必然性、合理的な根拠はありません。そもそも「パーフェクトの回数」と「6ラウンド目の比較」を、同じ物差しに並べること自体、不自然です。
仮に、上記処理が致し方ないものとしても、6ラウンドの内訳が全く同じだった場合に、次はどこで差をつけるかの規定がありません。1本勝負をするのか、ジャンケンでもするのか、事前に取り決めがないのは理解に苦しみます。
また、決勝トーナメントでも『予選での「同点の処理」を行う』とありますが、これは予選の合計点も考慮に入れるのか、それとも「合計点が同じだった場合の処理」のみ適用するのか、文章から判別できません。いずれにしても、「予選は予選として持ち越さず、トーナメントによる一発勝負で勝者を決める」という、従来からある決勝トーナメントの本質を変えることになりますので、相当に大きな変革だと思われます。
ちなみに、予選の合計点が優先されるのであれば、まだ問題は少ないと思いますが、そこを飛ばした「同点の処理」だとすると、場合によっては議論の対象になるでしょう。例えば、予選でオール33点の198点でトップ通過したAさんと、35点1回、31点5回の190点でかろうじてトーナメントに進んだBさんが対戦し、同点だった場合、パーフェクトを1回出しているBさんに軍配が上がることになるからです。
勿論、競技部や大会実行委員会の皆さんが議論を重ねた結果であることは承知していますが、要項を一読しただけで、これだけの疑問や不合理を感じたことは、今まで記憶にありません。本部主催の大会ルールは、各地方大会にも少なからず影響を与えるものですし、トラブルだけではなく、競技者からの不満も極力出ないような運用・結果を期待したいと思います。
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