今年の青柳杯大会も、終わって一週間が経とうとしています。例によって、結果を簡単にまとめておきたいと思いますが、昨年の考察を振り返ると、急激なスコア向上が見られた女子について、現状では「あくまで今年の結果」に過ぎないとする一方、男子については、来年は「192点でもトーナメントに進めるか分からない」状況が十分に起こりうるとしていました。果たして、結果は概ねその通りになった印象です。
いつものように、男女の予選成績を上位20位まで表にしてみました。
昨年、六段相当の186点でも決勝に進めない方が発生した女子は、「186点までが確定、184点の4人中1人が進出」へと、若干の後退となっています。それでも、180点で確実に決勝進出のチャンスがあった一昨年までと比べれば、明確に厳しい戦いとなっており、20位ラインが変わらないことを考えれば、昨年に近い(あるいは同等の)レベルを維持しているともいえるでしょう。
一方の男子は、一昨年で6人中2人、昨年でも7人中1人、決勝に進出することができた190点が、とうとう圏外に。更には、これまで確実に残れていた192点でも、4人中1人は脱落するという、まさに昨年危惧した通りの展開となりました。400名以上の中とはいえ、1ラウンド平均32点を出して上位8名に入れないことになるとは、ほんの2、3年前には想像もつかなかった事態です。
この傾向から来年を予想すると、女子は引き続き186点前後がボーダー、男子はひょっとすると194点でも安心できなくなる可能性がありそうです。競技人口も用具のバリエーションも大きく異なりますが、第1回の青柳杯でトーナメント進出16名が186点~178点で構成されていたことと比べれば、隔世の感のひとこと。改めて、よく決勝に残れたものだと思わずにはいられません。
さて、スコア面についてはこの程度に留めますが、もうひとつ戦前から注目していた「青柳杯の同点処理に関する新ルール」にも触れておきます。今回は、予選で同点だった場合に実施されていた1本勝負を廃し、6ラウンドの内容(パーフェクトの回数、6ラウンド目から遡った1ラウンドごとの優劣)で差をつけ、トーナメントの枠順、進出の可否を決定することになっていました。
女子では3位タイの4名と8位タイの4名で、男子では1位タイの2名と3位タイの3名、6位タイの4名で、それぞれ適用されましたが、定めがないため心配していた「全ラウンドの構成が同一で差を付けられない場合」の処理は、生じなかったようです。
ただし、該当者全員の6ラウンドを目視で見比べていたのか、決勝トーナメント進出者が発表されるまでに、相当な時間を要しました。知っている方の中には、決勝は無理だと自主判断して用具を片付けたところ、名前を呼ばれて慌ててセッティングし直した、という例もあったくらいです。
ボーダー付近と思われる場合は、用心して片付けずに発表を待つという手もあったとは思いますが、「○点以上の方は決勝進出の可能性がありますので、用具を片付けずにお待ちください」のアナウンスだけでもあれば、そういった混乱はなかったはずで、要した時間を考えても、いささか配慮が足らなかったように感じました。
また、決勝トーナメントでは、女子の決勝と男子の準決勝で同点が発生しましたが、「同点の際はもう1ラウンド、それでも決着がつかない場合は1本勝負」と定められていた女子決勝は、ルール通り2ラウンド目が行われたものの、『同点の場合は予選での「同点の処理」を行う』としか定められていないはずの男子準決勝では、どういうわけか1本勝負が実施され、勝ち上がりが決まりました。
今回新たに定められた「同点の処理」ルールは、より中心に近い1本を吹けるかどうかという、万人に分かりやすい優劣の付け方を廃し、敢えて6ラウンドの内容に踏み込んで差を付けると決めた、良くも悪くも大変画期的なもの(※)です。にも関わらず、新しい「同点の処理」を行うはずの準決勝で、廃したはずの1本勝負が唐突に現れたのは、理解に苦しみます。幸いにして、「同点の処理」ルールでも上位だった方が勝ち上がりはしましたが、非常に釈然としない思いが残りました。
(※)合計点が同じ場合は、パーフェクトを出している方が(パーフェクトの回数の多い方が)優れている、と協会最高峰の試合で定義づけたわけですから、影響は小さくありません。例えば、同じ186点の二人がいたとして、一人はオール31点、もう一人は35点×3と27点×3だった場合、後者が明確に「優秀」であるとする違和感が、お分かりいただけるでしょうか
当然、参加者から多くの声が寄せられるでしょうし、実行委員会としても総括はされることと思いますので、次回以降より素晴らしい大会になることを願っています。
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