藤枝サークル 熱海サークル 的の高さの話 - 日本スポーツウエルネス吹矢協会 静岡・焼津支部

的の高さの話

| コメント(0) | トラックバック(0)

 ご承知の方も多いと思いますが、去る2月に本部の競技規則が一部改定となりました。その中で話題になっていることといえば、的の高さについての記述変更でしょう。具体的には、

設置する高さは、黒点の中心を床上160cm(130cm)とする

とされていた部分が、

設置する高さは、黒点の中心を床上 160cm 又は 130cm の 2 種類とする。(本人の申告制 とする)

と変更されたのです。また、障がい者部門とジュニア部門に関しては、従来より160cmと130cmの2種類を自己申告で選べる旨が明記されていましたが、今回の改定により一般の競技規則と表現が統一されました。

 文字面だけなら、一般も二種類の高さから自由に選べるようになった、とも読めるこの改定。しかし、私自身は「ルールが変わったわけではないのでは...?」と受け取っています。過去のエントリでも書いた通り、改定の件は当支部でも皆さんに伝えているものの、少々否定的なニュアンス混じりで説明したのが、実際のところでした。

 そもそも、160cmと130cmという二種類の高さは、何故存在しているのか。ジュニア部門と障がい者部門が申告制であった理由は、背の低さ、あるいは車椅子に乗っているなど、「160cmではさすがに高すぎる」場合があるから、というのが自然な理解だと思います。

 例えば、当支部のH川さん(車椅子)は、以前「160cmで吹けと言われればいくらでも吹くけど、自分で矢が抜けないからなぁ」と仰っていました。成長途上のジュニアにとっても同様ですが、こちらは呼気がまだ十分に強くないため、成人以上に高すぎる的へ吹くのが難しい、という側面もあるでしょう。いずれにせよ、こうした場合のための「130cm」であるのは明白です。

 一方、一般の競技規則でも、「160cm(130cm)」と非常に控えめかつ曖昧な表現ながら、選択の余地はあったことが伺えます。女性の方など背が低いケースも少なからずありますから、その場合はジュニア等と同様の理由で130cmを選べて当然のはず。ただし、「大人は160cm」という一律の運用が大半だったのは実感するところですし、各現場でどの程度130cmの適用があったか、その辺りの疑問は残ります(適宜対応してきた支部、指導員の皆さんには、失礼ご容赦ください)。

 また、本当に「誰でも160cm/130cmを選べる」と変わったのであれば、こんな重要なことに何のアナウンスもないのは不自然でしょう。何しろ、競技の難易度に関わること。例えて言えば、一般(成人)のハードル競走で、ハードルの高さを任意に選べるようなものです(そんなことは、ありえませんよね)。

 つまり、これらを総合すれば、今回の改定は「表現が改まっただけ」であり、「原則として的の高さは160cm、場合によって130cmを選択できる」というルールに一切の変更はない、という解釈が、最も妥当ではないかと考える次第です。

 ただし、改定にあたって一切の条件が付記されていないのは、いかにも手落ちでしょう。本来、こうした規則・規約は、誤解・曲解されるような曖昧な部分を残すものではないからです。これまで殆どなかったであろう「130cmも任意に選べる」という解釈が、実際に各所で持ち上がっていることからも、「言葉足らず」なのは明らかで、表現を改めるのであれば、

設置する高さは、黒点の中心を床上 160cm 又は 130cm の 2 種類とする。(ただし130cmは本人の申告制 とし、○○が可否を判断する)

といった形がベターだったように思います(○○の部分は、審査員、審判など、その場における責任者の意)。併せて、130cmを選択できる条件を具体的に書ければなお良いのですが、この線引きは非常に難しい作業でしょう。

 勿論、「大人は160cm」という固定観念に囚われるあまり、「自分で矢を抜けない」「筒を上に向けすぎて矢が口に入ってくる」といった、現実に不都合が生じている方々がいらっしゃるとしたら、当然の権利として130cmを選択できるという、ルールの徹底は不可欠。何故このタイミングだったかは不明ながら、改訂の理由はその辺にもあるような気がします。

 とはいえ、これらはあくまで私見。改定された規則に補足がない限り、勝手な解釈を垂れ流しているだけかもしれませんが、そこは「表現の自由」ということで、平にご容赦ください。ただ、仮にもスポーツである以上、明らかに負荷の低くなる条件が無条件で混在できるとしたら、やはり違和感を覚えざるを得ないというのが、正直なところです。



トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.shizuoka-fukiya.net/mt/mt-tb.cgi/430

コメントする

2019年1月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

アーカイブ